地震に備える!賃貸アパート選びの耐震性チェックポイント
国土交通省白書によると2020年1月24日時点から、30年以内に南海トラフや首都直下型地震など大規模な地震が70%以上の確率で発生すると予測されており、今や地震が起こると前提とした対策が必要と考えられています。
地震がいつ起きるかわからない中で、賃貸アパートを借りる際に気になるのは、耐震性ではないでしょうか。
今回は、賃貸アパートの耐震性について、どのように確認し、選ぶべきかを詳しくお伝えしていきます。安全で快適な住まい選びのために、ぜひ参考にしてください。
1:地震に強い賃貸アパート探し
賃貸アパート探しをする上で、家賃や間取りなど様々な希望条件があるかと思います。
地震に強い賃貸アパートとは?ここでは地震に強い賃貸アパートを探すポイントをお伝えしていきます。
1.1:築年数
地震に強い賃貸アパートを探す目安として『築年数』があげられます。
安心して暮らすなら、新築や2000年以降の物件がベストですが、希望条件と合った物件が見つからない場合もあるかと思います。その場合は1981年以降に建てられた物件を探してみましょう。
■耐震基準
地震に強い建物なのかと判断する基準として『耐震基準』があります。
耐震基準とは、建築する建物が最低限満たすべき地震の耐性基準であり、建築基準法によって定められています。
耐震基準は過去の大地震の度に改正されていて、1981年以前のものを『旧耐震基準』、1981年に改正されてた耐震基準を『新耐震基準』、2000年に改正された耐震基準を『2000年基準』といわれています。
新耐震基準は、震度6強〜7くらいの地震が襲ってきたとしても建物が倒壊・崩壊しないことが基準となっています。
2000年基準は、建物を建築する際には地盤調査が義務付けられ、柱などが結合する箇所に金具の取り付け、耐性の強い壁を四方に配置するなど新耐震基準をより厳しくしたものとなっています。
しかし、アパートやマンションなどの賃貸物件では築年数はそれほど重要ではないともいわれています。
なぜなら、賃貸アパートやマンションの場合、リフォームやメンテナンスが行われている可能性があるからです。
賃貸アパートを探す際には、あくまでも築年数は目安として考え、リフォームやメンテナンスが『いつ・どのくらい』行われているのかをチェックすることが重要です。
1.2:構造
次に賃貸アパートの耐震性を見極めるうえで大切なのが「構造」です。
建物の構造には『木造』、『鉄骨造』、『鉄筋コンクリート造(RC造)』、『鉄筋鉄骨コンクリート造』があります。
木造については以前『木造賃貸アパートの特徴~音が響きやすいって本当?~』のコラムでお伝えしたので、ここでは木造以外の特徴についてお伝えします。
■鉄骨造
・鋼材の厚さによって軽量鉄骨と重量鉄骨に区分される
・鉄や鋼の特性が揺れを吸収する
・熱に弱いため、火災の消火が遅れると倒壊の危険性あり
軽量鉄骨は、主に2階建てのアパートや戸建てを建てる際に用いられます。一般的に大手ハウスメーカーが呼ぶ「鉄骨造」は軽量鉄骨を指していることが多いです
重量鉄骨は、主にマンションや高層ビルなど3階建て以上の建物を建てる際に用いられます。軽量鉄骨より鋼材に厚みがあるため、強度が高く耐久性・防音性に優れています。
■鉄筋コンクリート造(RC造)
・鉄筋とコンクリートで構成されている
・引張りと圧縮に強い
・鉄筋をコンクリートで覆っているので耐火性がある
・地震に強い構造
鉄筋コンクリート造(RC造)は鉄筋とコンクリートを使用した構造で、木造アパートと比べると、耐久性、耐震性、防音性に優れている。
■鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)
・鉄骨造と鉄筋コンクリート造を組み合わせた構造
・4つの構造の中でも最も強度や耐震・耐火性に優れている
・主に高層マンションで採用される
構造については、上記でお伝えした新耐震基準以降の建物であればどれも差はありませんが、地震以外の二次災害に多い火災に強いという点で『鉄筋コンクリート造(RC造)』を選んでおくと安心できますね。
1.3:その他
以前、『アパート探し♪周辺環境を把握しておこう〜』のコラムの中でもお伝えしましたが、賃貸アパートを探す際はハザードマップの確認を。
検討中のエリアで地震がおきた際に、揺れの強さはどのくらいなのか、液状化のリスクはないかなど確認しておくと安心です。
2:賃貸アパートでできる地震対策
賃貸アパートの場合、釘などで家具を壁に固定するのは難しいですよね。
ここでは壁に傷をつけずにできる地震対策をご紹介します。
2.1:家具の固定
■突っ張り棒
突っ張り棒タイプのグッズを使うと壁や天井を傷つけずに家具を固定することができます。圧着面がウレタンやゴムなど使用しているタイプであれば壁へのダメージが少なくできます。様々なタイプの製品が販売されているので、耐震性能や固定力に注目して選びましょう。
■耐震マット
テレビや冷蔵庫などの家電や、本棚やキャビネットの下に耐震マットを敷くことで転倒を防げます。ゲルタイプのものは有効期限に注意が必要です。
■耐震ストッパー
床と接している面が少なく耐震マットが使えない足つき家具や、突っ張り棒だと見栄えが悪く使いづらい場合には耐震ストッパーがおすすめです。
壁に家具を固定するタイプで、振動を吸収しキャビネットなどの転倒を防ぎます。
2.2:食器などの落下防止対策
■耐震ラッチ
地震の揺れで吊戸棚や食器棚の扉が開いてしまうのを防ぎます。ネジで取り付けるタイプが多いですが、両面タイプもあるので備え付けの吊戸棚などには両面タイプがおすすめです。
■滑り止めシート
すべり止めシートを敷いた上に食器などを置くことによって、横に揺れた際に食器類が飛び出たり滑り落ちることを防ぐ効果があります。しかし、縦揺れには効果が薄いため、できる限り食器を重ねないといった工夫も必要です。
■食器の収納位置
食器を収納する際は、重いものは下段に収納しましょう。食器棚の重心が下にくるようにすることで転倒しにくくなります。
2.3:レイアウトの見直し
■生活空間に家具類を置かない
クローゼットや納戸など備え付けの収納がある場合には上手に活用し、生活空間にはできる限り家具を置かないことをおすすめします。生活空間がすっきりしていると、地震の際にも危険が少なくなります。
■避難通路
玄関までの通り道が確保できるかどうかを考えて、家具のレイアウトを見直してみましょう。ドア付近や廊下に大型家具類を置くと、地震の揺れで転倒したり移動したりして、逃げ道をふさいでしまうことがあります。
3:まとめ
いかがだったでしょうか?
日本で暮らしていくうえで、地震の心配は尽きないもの。
明日、大規模な地震がくるかもしれないし、20年経ってもこない可能性もありますが、備えておくことが大切です。
賃貸アパートをお探しの際には、今回の内容を参考に「築年数」や「構造」も気にしてみてください。