賃貸アパートの地震対策
関東大震災が1923(大正12)年9月1日に発生してから、2023年で100年になります。
南海トラフや首都直下型地震など大規模な地震が起きると予測されていて不安に感じる人も多いかと思います。
今回は賃貸アパートでできる『地震対策』についてお伝えしていきたいと思います。
目次
1:地震に強い賃貸アパート探し
賃貸アパート探しをする上で、家賃や間取りなど様々な希望条件があるかと思います。
地震に強い賃貸アパートとは?ここでは地震に強い賃貸アパートを探すポイントをお伝えしていきます。
1.1:築年数
地震に強い賃貸アパートを探す目安として『築年数』があげられます。
安心して暮らすなら、新築や2000年以降の物件がベストですが、希望条件と合った物件が見つからない場合もあるかと思います。その場合は1981年以降に建てられた物件を探してみましょう。
地震に強い建物なのかと判断する基準として『耐震基準』があります。
耐震基準とは、建築する建物が最低限満たすべき地震の耐性基準であり、建築基準法によって定められています。
耐震基準は過去の大地震の度に改正されていて、1981年以前のものを『旧耐震基準』、1981年に改正されてた耐震基準を『新耐震基準』、2000年に改正された耐震基準を『2000年基準』といわれています。
新耐震基準は、震度6強〜7くらいの地震が襲ってきたとしても建物が倒壊・崩壊しないことが基準となっています。
2000年基準は、建物を建築する際には地盤調査が義務付けられ、柱などが結合する箇所に金具の取り付け、耐性の強い壁を四方に配置するなど新耐震基準をより厳しくしたものとなっています。
しかし、アパートやマンションなどの賃貸物件では築年数はそれほど重要ではないともいわれています。
それは賃貸アパートやマンションの場合、リフォームやメンテナンスが行われている可能性があるからです。
賃貸アパートを探す際には、あくまでも築年数は目安として考え、リフォームやメンテナンスがどれくらい行われているのかをチェックすることが重要です。
1.2:構造
建物の構造には『木造』、『鉄骨造』、『鉄筋コンクリート造(RC造)』、『鉄筋鉄骨コンクリート造』があります。
木造については以前『木造賃貸アパートの特徴~音が響きやすいって本当?~』のコラムでお伝えしたので、ここでは木造以外の特徴についてお伝えします。
【鉄骨造】
・鋼材の厚さによって軽量鉄骨と重量鉄骨に区分される
・鉄や鋼の特性が揺れを吸収する
・熱に弱いため、火災の消火が遅れると倒壊の危険性あり
【鉄筋コンクリート造(RC造)】
・鉄筋とコンクリートで構成されている
・引張りと圧縮に強い
・鉄筋をコンクリートで覆っているので耐火性がある
・地震に強い構造
【鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)】
・鉄骨造と鉄筋コンクリート造を組み合わせた構造
・4つの構造の中でも最も強度や耐震・耐火性に優れている
・主に高層マンションで採用される
構造については、上記でお伝えした新耐震基準以降の建物であればどれも差はありませんが、地震以外の二次災害に多い火災に強いという点で『鉄筋コンクリート造(RC造)』を選んでおくと安心できますね。
1.3:ハザードマップで立地を確認
以前、『アパート探し♪周辺環境を把握しておこう〜』のコラムの中でもお伝えしましたが、賃貸アパートを探す際はハザードマップの確認を。
検討中のエリアで地震がおきた際に、どのような影響を受けるのか予測できます。
2:賃貸アパートでできる地震対策
賃貸アパートの場合、釘などで家具を壁に固定するのは難しいですよね。
ここでは壁に傷をつけずにできる地震対策をご紹介します。
2.1:家具の固定
■突っ張り棒
突っ張り棒タイプのグッズを使うと壁や天井を傷つけずに家具を固定することができます。圧着面がウレタンやゴムなど使用しているタイプであれば壁へのダメージが少なくできます。様々なタイプの製品が販売されているので、耐震性能や固定力に注目して選びましょう。
■敷くシート
突っ張ることができない天井や、突っ張り棒では固定できない腰高くらいの家具には前面にシートを入れて傾きをつける方法もあります。
地震の揺れで家具が前方に倒れてくるリスクを防ぎます。身近なもので、新聞紙などを折りたたんで挟むのも◎
■耐震マット
テレビや冷蔵庫などの家電や、本棚やキャビネットの下に耐震マットを敷くことで転倒を防げます。ゲルタイプのものは有効期限に注意が必要です。
■耐震ストッパー
床と接している面が少なく耐震マットが使えない足つき家具や、突っ張り棒だと見栄えが悪く使いづらい場合には耐震ストッパーがおすすめです。
壁に家具を固定するタイプで、振動を吸収しキャビネットなどの転倒を防ぎます。
2.2:食器などの落下防止対策
■耐震ラッチ
地震の揺れで吊戸棚や食器棚の扉が開いてしまうのを防ぎます。ネジで取り付けるタイプが多いですが、両面タイプもあるので備え付けの吊戸棚などには両面タイプがおすすめです。
■滑り止めシート
すべり止めシートを敷いた上に食器などを置くことによって、横に揺れた際に食器類が飛び出たり滑り落ちることを防ぐ効果があります。しかし、縦揺れには効果が薄いため、できる限り食器を重ねないといった工夫も必要です。
■食器の収納位置
食器を収納する際は、重いものは下段に収納しましょう。食器棚の重心が下にくるようにすることで転倒しにくくなります。
2.3:レイアウトの見直し
■生活空間に家具類を置かない
クローゼットや納戸など備え付けの収納がある場合には上手に活用し、生活空間にはできる限り家具を置かないことをおすすめします。生活空間がすっきりしていると、地震の際にも危険が少なくなります。
■避難通路
玄関までの通り道が確保できるかどうかを考えて、家具のレイアウトを見直してみましょう。ドア付近や廊下に大型家具類を置くと、地震の揺れで転倒したり移動したりして、逃げ道をふさいでしまうことがあります。
3:地震に備えて
3.1:防災用品の見直し
災害に備えて防災用品を準備している人は多いかと思いますが、定期的に見直しはされていますか?
いざという時、電池切れであったり賞味期限切れがないよう見直しをしましょう。また、小さなお子様がいるご家庭では防災用品の中に「おむつ」をいれている人もいると思います。サイズアウトしていないか確認しておきましょう。
3.2:家族会議
大規模な地震が発生した際の避難所について家族であらかじめ話し合い、決めておきましょう。また、災害時は多くの人が連絡を取ろうとするため、電波が混みあってしまうことが予想されます。事前に安否確認の方法を話し合っておきましょう。
3.3:火災保険
以前、『火災保険』のコラムでお伝えしましたが、地震による家財の損傷は火災保険の補償対象外となっています。大規模な地震が発生した時の災害に対して補償を備えるためには、『地震保険』が必要です。ただし、地震保険は火災保険とセットでないと加入することができません。
地震による被害を受けやすい地域や、がけ崩れが起こりそうな立地に住んでいるような場合には、火災保険の見直しに合わせて、地震保険への加入を検討しましょう。
4:まとめ
いかがだったでしょうか?
日本で暮らしていくうえで、地震の心配は尽きないもの。明日、大規模な地震がくるかもしれないし、20年経ってもこない可能性もありますが、備えておくことが大切です。
賃貸アパートでも、地震による家具の転倒や物の落下を予防するための対策は十分に可能です。今回の内容を参考に、少しでも安心して暮らせるようにご自身でできる地震対策を取り入れてみてください。