聞き流しているとトラブルの種!?賃貸契約における重要事項説明書の注意点
賃貸物件を契約する際に、必ず「重要事項説明」を受ける必要があります。
「不動産用語が難しくて内容が入ってこない…」「契約することと何が違うの?」と思う方もいらっしゃるかと思います。
重要事項説明をきちんと聞いていなかったことで後々トラブルに発展するケースも。
今回は重要事項説明書についてお伝えしていきたいと思います。
目次
1:重要事項説明書とは
賃貸借契約書をはじめ、不動産に関する契約書は聞きなれない専門用語が多く、内容が難しいことから、宅地建物取引士が借主にわかりやすく物件の内容を説明するのが重要事項説明です。
重要事項説明書は、宅地建物取引士が借主に対して物件情報や契約条件に関する一定の重要事項について説明するための書面です。
借主を守るための書面であり、借主が誤った判断で契約することを防ぐ役割があります。
1.1:重要事項説明書と契約書の違い
賃貸借契約の際に渡される書類には「賃貸借契約書」と「重要事項説明書」の2種類があります。
「賃貸借契約書」は貸主(大家さん)と借主との間で締結する契約書です。
「重要事項説明書」は不動産会社が借主に対して、契約する条件や内容を確認する資料であり、重要事項説明を受け、内容に納得がいった上で借主は契約書に署名・捺印をして契約完了となります。
1.2:重要事項説明の流れ
先程お伝えした通り、重要事項説明書は契約前に契約するお部屋の条件や内容を確認するための資料的な役割があるため、契約を締結する前に説明を受けます。
重要事項説明と契約を同日に行うことが多いですが、可能であれば重要事項説明書を事前にもらい、目を通しておくことで疑問点や不安な点を契約前に洗い出しできます。
なかには、「時間がない!」「面倒だから・・・」などという理由で重要事項説明を省略できないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
重要事項説明は宅地建物取引業法により義務付けされているため、不動産会社で仲介して契約をする場合には、重要事項説明の省略はできません。
また、重要事項説明をしっかり行わなかった場合や宅地建物取引士以外の者が説明を行った場合は、不動産仲介会社には違法行為という事で国土交通省や都道府県などから業務停止などの厳しいペナルティを課せられてしまう事もあります。
「そんなことは聞いてない!」といったことにならないために、国家資格である宅地建物取引士を持った担当者による法的知識に基づいた説明を受けるようにしましょう。
2:重要事項説明書のポイント
基本的には重要事項説明書に記載されている内容はすべて重要ですが、その中でも特に確認しておくべき項目についてお伝えします。
2.1:設備に関する項目
賃貸物件に備え付けられている設備状況について確認が必要です。
「設備有」になっているものについては、通常の使用方法によって故障した場合は「貸主負担」で修理してもらえます。
「設備無」になっているものについては、前の借主が残していった「残置物」です。故障をした場合の修理費用や、自分が退去する時に撤去費用を負担する可能性があります。
残置物の扱いについてはトラブルになることが多いため、内見の際にあった設備が「設備無」となっていたら、必ず確認をしましょう。
2.2:インフラに関する項目
電気・ガス・水道のインフラ整備状況についても確認が必要です。
特に都市ガスかプロパンガスかによっては、前のお部屋で使用していたガスコンロが使用できない場合もあるのでしっかり確認しましょう。
近年では、インターネット環境が整っている賃貸物件も多いため、インターネット環境の有無も要チェックです。
2.3:賃料以外のお金に関する項目
重要事項説明書には初期費用に関するすべての内容が記載されています。
敷金や礼金、保証料や鍵交換費用などに加え、町内会費や駐輪代などの有無について記載されているので、契約後に「この費用もかかるの!?」というようなことがないよう、しっかり確認しましょう。
2.4:更新に関する項目
賃貸物件は2年更新が一般的ですが、更新可能か、更新料・更新手数料についても記載があるのでチェックしましょう。
更新料の相場については、以前こちらのコラムにてご紹介しているので気になる方は合わせてチェックしてみてください。
2.5:解約に関する項目
賃貸物件の解約通知は一般的には1か月前とされていますが、物件によっては2か月前、3か月前など異なります。契約を途中で解除し解約する場合には、何か月前に連絡すればいいのか解約方法と合わせて確認しておきましょう。
2.6:管理委託先
賃貸物件を紹介した不動産会社と、その物件を管理している不動産会社が異なる場合があるため、設備の故障や他の入居者とのトラブルなどいざという時の連絡先はしっかり確認するようにしましょう。
2.7:安全性に関する項目
近年、自然災害により深刻な被害に見舞われることも。2020年8月以降、ハザードマップの説明が義務化されています。万が一、災害が起きた際の避難場所や被害想定など把握しておきましょう。
また、耐震診断の有無や石綿調査の有無についても確認しておくと安心です。
2.8:特約事項
重要事項説明書はフォーマットは違えど、記載してある項目は基本的には固定されています。その固定された項目以外に追加して説明が必要なものについては特約事項として記載されます。
一例として次のようなものが挙げられます。
・事故物件などの忌避事項の有無に関する説明
・近隣の嫌悪施設(墓地や火葬場、暴力団事務所)の有無に関する説明
・敷金に関する説明
・退去時のクリーニング費用に関する説明
特に敷金に関する説明やクリーニング費用に関する説明はトラブルになりやすい項目のため、必ずチェックしましょう。本来ならば貸主負担で修繕するはずの経年劣化の部分までもが借主負担になっているケースがあるので、注意が必要です。
借主に不利な条件が特約事項として記載されている場合もあるため、説明の聞き逃しがないよう、また、わからないことは必ず確認するようにしましょう。
3:まとめ
いかがでしたか?
重要事項説明書は「このお部屋を、このような条件で契約します。」といった契約内容を確認する資料です。
なんだか難しい不動産用語が多く、聞き流しがちな重要事項説明ですがしっかり説明を聞いていないと後々トラブルに繋がる可能性があります。
不明な点や疑問点は必ず確認し、契約時に解消しておくことでトラブルのない快適な賃貸ライフを送ることができると思います。